RYUKAミニ講座4:ストレスマネジメントのすすめ

ストレスの本来の意味

「近ごろストレスが多くて体調が悪い」「仕事にストレスを感じる」など、私たちは日常会話でストレスという言葉をよく口にしています。いまや、日常語として使われているストレスには、本来どのような意味があるのでしょうか。

もともとストレスという概念は、カナダの生理学者セリエ(Selye,H.)によって1930年代に「あらゆる要求に対し、生体が起こす非特異的反応」と定義づけられました。つまり、有害物質が体内に侵入したり、寒冷や騒音にさらされたり、不安・抑うつ・怒りといった情動面で有害な刺激を受けると、その種類にかかわらず、決まった生体反応を示すことを発見したのです。この生体反応をストレスと呼び、この時にストレスを生じさせる刺激をストレッサーと呼びました。

生物学的観点から心理学的観点へ

セリエのストレス学説が、生物学的性格の強いものであったのに対し、その後の研究ではストレスを心理学的観点から捉えることが多くなっていきました。たとえば、就職や結婚、死別といったライフイベントにどの程度遭遇したかによって、その人のストレス度を捉えていこうという方法が開発されました。そして現在では、日常生活の中でイライラするような些細な出来事の積み重ねが疾病に関係が深いという、「環境竏註l」の関係に注目した主張が広く受け入れられているようです。

人生のスパイス

現代では、ストレスもストレッサーもともに「ストレス」と呼ばれることが多いようです。しかし、本来は先述のようにストレスとストレッサーは違うものなのです。また、一般にストレスとは心身に悪影響を及ぼすものとして理解されていますが、必ずしもストレスは私たちにとってマイナスに働くとは限りません。

セリエは、「ストレスは人生のスパイスである」とも言っています。このように、ストレスとはすべて厄介なものかというと、必ずしもそうではありません。むしろ適度なストレスは、良い刺激となって人間にエネルギーを起こさせます。これは、いわゆる善玉ストレスと呼ばれるもので、たとえば職場の上司からの期待のこもった激励や指示は、仕事へのやる気を喚起させるものではないでしょうか。一方、心身に悪影響を及ぼすストレス(悪玉ストレス)とは、過剰なストレスのことを指します。

現代社会はストレスに満ちあふれているといわれていますが、私たちはどのように対処していけばストレスに負けずに、健康的な暮らしを続けていくことができるのでしょうか。次回は、ストレス事態にさらされても適切に対処していける態勢や対処行動について紹介します。

ネアカのびのび通信

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