Catch Up YUHO / vol.03 横手弘宣さん

ブランドの最前線で次なる展開を拓く(後編)

vol.03(後編)
ライオン株式会社
オーラルケア事業部ブランドマネージャー
横手弘宣さん(商学部流通学科 2000年卒)

ブランド価値を創るのは誰なのか?

横手弘宣さん 写真大学院で勉強してMBA取得後は会社に戻ってオーラルケア事業部でブランド戦略に関わり、現在はブランドマネージャーとして主に「クリニカ」を担当しています。広告、製品開発、生産、工場投資、営業戦略などすべてに関わるのですが、大学院での研究はいまの仕事にとっても生きています。

「クリニカ」は1981年発売のロングセラーブランドですが、マーケットで成長が鈍り、停滞期に入ってしまいました。そこで2014年にブランドを更新し、歯科界と併走して社会に問題提起するという方向性で「予防歯科」というコンセプトを打ち出しました。戦略としては社会を巻き込むため、まず製品を歯科医のおすすめする基準に格上げしました。「歯医者さんに褒められたい」というお客様のインサイトにアプローチし、定期歯科検診の推進などにも投資して、お客様の意識を上げ、セルフケア市場を伸ばしてマーケットを変えたのです。その結果、デンタルフロスやデンタルリンスなどの需要が喚起されて客単価が上がったこともあり、ブランド更新で売り上げは約1.5倍に伸びました。

これからのブランド戦略は「体験価値」が大切になってくると思います。例えば洗濯洗剤は一義的には汚れを落とすためのものですが、外できれいに見られるためとか、仕事に行く時に気持ちを引き締めるためとか、本当の目的はそこにあるので、そっちを「瞬間」で描くことがその商品を選択する理由になると思うんです。デジタル社会で情報の取得方法が変わり、製品の差別性を打ち出しにくい世の中だからこそ、製品の機能ばかり訴求しても興味を持っていただけないのです。もしかしたらブランドをマネジメントするという発想自体がもう古いのかもしれません。ブランドに価値を創るのはお客様の体験でしかないのですから。ですからどういう体験をサポートしていけるかを発信していくことが重要になってくるのではないかと思っています。

Infomation

ライオン株式会社 https://www.lion.co.jp/ja/
クリニカ https://clinica.lion.co.jp/